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木彫は楽し

2008.11.3/更新2012.5.12


  野生動物   人形ほか  展示会・公募展  余談




  ―――――New―――――

「母と子」 寝ていてもシッポの動く
 江戸川柳に「寝ていても団扇うちわの動く親心」というのがあるが、これは「寝ていてもシッポの動く親心」とでもいうべきイメージ。子猫はやっと外界がわかりかけてきた、まだ動作が緩慢な状態を想定してみた。反面、母猫のシッポをくねらせて動きを出した。毛並みは電熱ペンで焦がす。バーニングは久しぶり、2匹の全身を描くと肩が凝ったが、母子の表情に気持ちはほっくり。

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母猫と子猫

 
 
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「キャット・ウォーク」 尾を立てて機嫌よく
 猫の歩き方は、同じ側の前足と後足を同時に出す“側対歩”。これはキリンやラクダも同じだそうだ。運動会などで、緊張のあまりこういう歩き方をする児童を見かけた人もいるだろう。あれはかなりギコチナイけれど、猫のほうはしなやかで優美である。(犬や馬は“斜対歩”で左右対角の足を同時に出す。人間も“斜対歩”かな。二足歩行だから、腕の振りはバランスをとるための反動かも)
 猫が尾を垂直に立てているときは、うれしくて機嫌がいい表れとか。で、春のぽかぽか陽気のなかをウォーキングする姿を彫ってみた。題は、昔聴いたマル・ウォルドロンのジャズ曲を思い出し借用。2012/4/12

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歩く猫-正面 歩く猫-側面 歩く猫-後面


「春近し」 初めての楠材
 ことし3月、北海道に産しない楠を購入、初めて彫ってみた。硬い木なのでほとんど叩き鑿の作業。部屋中、芳香が満ちて気持ちいいが、鑿が入ると水がにじむ生木だった。翌朝みると罅割れが生じていて慌てた。やむなく荒彫り段階で、小口に木工ボンドを塗り、寝かせておいた。はや年末、もう9か月もたったのだから、そろそろ乾燥しただろうと仕上げ彫りに。
 彩色はアクリル絵の具を塗り、そのあと、との粉を振りかけて磨いた。先日“kenの木彫と、ふるさと大屋のブログ”で教えていただいた但馬木彫の隠し技である。まだ満足な効果が出たとはいえないが、アクリルの派手な色合いを抑え、微妙な渋みが出たように思う。kenさん、ありがとう。札幌から南の方角(兵庫県養父市大屋町)に向かって拝謝! 2011/12/5

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首をかく猫−左 首をかく猫−前


「シャム猫」 初猫〜ダミーを再生
 初めて猫を彫ったのは4年前、われながらまあまあの出来と思えた。ところが時日が経つにつれ、下手さ、未熟さに気づいた。で、サイドボードに飾っていたのをガラクタ箱に放り込み、新しい猫を彫るときの身代わりというか実験台というか、試し彫りや試し塗りに使うことになった。思案のたびに切り刻み、塗り重ね、また削り取るから、だんだん痩せ細り汚れてきた。家人が「可哀そうな猫」という。「こいつは作品でない、ただの木片だよ」と応えながらも、何やら情に動かされるような気持ちが湧いた。で、これ以上痩せて骨皮スジ衛門になる前にと、細身のシャム猫にして再生、少し口をあけて甘え鳴きさせてみた。2011/9/1

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シャム猫


「怪しい奴」 鏡に映る自身を威嚇
 鏡に映った自分の姿を威嚇する子猫、そのしぐさが面白くて彫ることに。途中、背から尾にかけて逆立つ毛並みをどう表現するか迷った(以前、リスを彫って、尾の放射状に広がる毛並みをどうにも立体化できなかったので)。ウッドバーニングで描こうかと思ったが、興奮の様相は刀の切れ味で表すしかないと思い直し、勢いよく彫り上げた。仕上げはアクリル絵の具で全身を白塗り、少し乾いてから濡れた布でこすってエッジの木肌を露した。鏡枠は裏面に眠る猫を置いて支えにしたところ、上のスペースが空いているので風鈴とスダレを陰刻。隠し味のつもりが、興が乗りすぎたかもしれない。子猫はジェルトン材、鏡枠はクルミ材。2011/8/12

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威嚇する猫1 威嚇する猫2 鏡裏


「日向ぼっこ」 ひのきの木目で茶トラに
 高級材の桧で彫った。桧は木目が美しいが、彫刻刀をよく研いで切れ味よくしておかなければきれいに出ないし、逆目はもちろん横目に削ってもケバ立つ。サンドペーパーなんかかけたら粉を吹いた状態になって木肌が光らない。厄介な材質に手こずりながら、けっきょく足周りを白く着色、頭・背・尾は木目を活かして“茶トラ”風に仕上げた。猫がうずくまる定番のポーズ、平穏なひとときを表現できたろうか。2011/6/1

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茶トラ1 茶トラ2


「逃げ足」 疾走の体勢、支え2個所で
 走る猫のフォーム。スピード感を出すため尾を横になびくようにしたかったが、そうすると前足1本で全体重を支えなくてはならない。木彫だからいつポキッと折れるかしれない。やむなく尾も地面に着けて2個所で支えることに。猫の場合、全力疾走は追いかけるより逃げるほうが多いのではなかろうか。危ないとみたらさっさとエスケープする――ちょっと滑稽でカッコワルイけど、生き残るには最も無難な安全策かな。2011/5/15

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走る猫1 走る猫2 走る猫3


モデル猫と再会、仲間と認識?
 完成した黒猫を持って、“福猫茶房”を訪ねた。実は荒彫り段階で訪ねたとき、この猫カフェのスタッフの中から、黒猫の“くう”君をモデルに選んだ経緯があり、今回、再会というか、照合してみようと思ったのだ。
 木彫猫を房内に持ち込むと、猫スタッフ一同ぞろぞろ集まってきて、臭いをかいだり触ったり……。私がけしかけるように前後に動かすと、とび出してきて先制パンチを食らわす強気の猫もいたが、たいていは怯えたように後ずさりする。当の“空”君はとび跳ねて逃げていってしまった。猫たちの目にどう映っているかわからないが、その反応ぶりからみて、猫の仲間(あるいは敵)と認識されたようなので、私としてはまあ満足した次第。2011/1/21

福猫茶房 黒猫とモデル
猫カフェ“福猫茶房”/分身の臭いをかぐ空君


ねらう」 吾輩は獣である
 世の中、なんでもかんでも可愛らしさばかりが強調され、猫も同様のようだ。しかし本性は肉食系、その野性を表現しなくては。獲物をねらう表情を観察すると、頭を低く下げ、目をみはるように開けてターゲットの動きを細大もらさずキャッチしようとしている。で、そのように下絵を描いたら、まるで驚いたような顔になって、どうも野性とはほど遠い。けっきょく三白眼にして睨みをきかせるしかなくなった。また眼光の鋭さは、黄色い目を黒一色の中におくと際立つと考え、全身を真っ黒けにした。全長49p、ジェルトン材。
 抱きあげてなぶれば猛き性見ゆる猫よたまさかかの虎となれ――この短歌は、恩師・古沢達夫先生の作。私の木彫は黒豹風だが相似た感覚と思い、紹介させていただいた。2011/1/1
 
この作品は、猫カフェ“福猫茶房”サイトに紹介されました。

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黒猫右向き 黒猫正面


「白猫 飼い猫を偲んで
 娘たちが小学生の頃、白いオス猫を飼っていた(家族との交流は、拙作「猫も歩けば」に=『われらリフター』所収)。しなやかな体型は野性味あふれ、狩りもうまかった。名前はチック、奴の面影をしのんで彫った。今回は電動ルーターを導入、補助的に使ってみたら微妙な細工が容易にでき、表現に改革が起きた感じ。毛並みはバーニング、仕上げはアクリル絵の具。毛並みの彩色は白一色だから面倒はなかったが、透明感のある青い目を描くのに1週間を費やした。バードカーヴィングの鳥の目玉のように、ガラスの猫の目玉をどこかで商品化してくれないものか。2010/7/24

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白猫正面 白猫側面 白猫背面


「きれい好き」 毛繕いで忘我の表情
 この構図はかなり難しかった。前足が舐めている後足の後側にあるなら形がとれるのだが、それでは秘所が丸見えになる。今回は上品にいこうと思って前足で隠す形をとった。材料はチュペロ(北米産)。白い木肌が美しいのでそのまま生かし、日本画用“顔彩”の茶〜黒色を塗って三毛猫にした。色の濃淡や滲みが温かみを醸しだすよう念じて……。それにしても猫って、毛繕いする時、なぜあんなに夢中になってしまうのだろう。2010/6/8

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きれい好き


「午睡」修正、猫カフェで裏側写生

 2年前に彫り、テレビの上に置いていたのだが、液晶テレビに買い換えたら幅が狭くて置けなくなった。改めて手にとってみて気になったのは、写真を参考にしているので見えない裏側がどうなっているかわからないこと。近所に猫カフェ“福猫茶房”が開店したので、さっそく訪ね、本物の猫の肩や腰などに触って、骨格や筋肉の付き具合を確かめた。持ち込んだ木の猫に描き込みをしていると、従業員(?)が何匹もやってきて、わが猫の臭いをかいだり鉛筆にじゃれついたりして、楽しい一時。帰宅後、微妙な細部を修正したので安心し、私も眠くなってきた。高さ10.5p、長さ30pの等身大。2010/5/8

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午睡側面 午睡前面

「ストレッチ」 春うらら、メタボ猫も動き出す
 猫独特の伸び伸びポーズ、メタボな体型にしてユーモラスな雰囲気を出してみた。木材の大きさに限りがあるので、長いしっぽをどんなふうにおさめるか悩まされ、結局こんな形に。題も「背筋伸ばし」「柔にゃん体操」なんてのも考えてみたが、前者はまともすぎ、後者はふざけすぎな気がして、これに落ち着く。オスのシンボルも表現。さあて、私も思いっきり大きな背伸びをして、どこかへ出かけてみるかな。――第34回道美展に初出展して新人賞をいただいた、私にとって記念すべき作品。2010/4/8

 この作品は、北岡ヤスリ製作所サイトに紹介されました。切れ味抜群の“木彫ヤスリ”を販売しています。

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ストレッチ前面 ストレッチ後面


「牝猫」模刻、しなやかな形を学ぶ
 これは畏れ多くも、近代木彫の鬼才と称される佐藤朝山「牝猫」の模刻。と言っても実物を見たことはなく、たまたま目にした1枚の写真の美しいポーズに魅了された。見つけたのはこの面(左)だけなので、他の面は成り行き任せに彫った。結果は足元にも遠く及ばない似て非なるものとなったが、猫のしなやかな造形を少しは学べたと思う。何よりも後ろを向いているのがいいなあ。いままで“前向き”を建前にして生きてきたから、そろそろ後ろ向きになってみたいと思っていたのだ。老人にはそれしか残っていないような気もする。2010/2/21

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牝猫側面 牝猫背面


「子猫」 毛並みをウッドバーニング
 小首をかしげてお座りしている子猫を彫った。技法は、西誠人『キャット・カーヴィンク 猫の木彫入門』を参考に、彫り上げたあとヤスリ〜サンドペーパーをかけて滑らかにし、タビー系の縞模様をバーニングペンで描く。全身の毛並みを1本1本焼き付けるのは気が遠くなるような面倒な作業だが、木の焦げる香ばしい匂いを嗅ぎながら楽しんで描いた。2匹彫ったら、なんとなく兄妹のようになった。インドネシア産のジェルトン材。2009/5/14

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子猫たち

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  ―――――野生動物―――――

Owl on Book」 知恵の神とは言い難し
  『世界のふくろう』という本に紹介されていた、オーストリアの梟の民芸品を真似て彫る。胸を張って本の上に止まっている姿は、国内の土産店で売られている省力作品にはない、いかにも知恵の神を体現するような品格と威厳があった。載っていた写真は正面1枚で、側〜背面が見えないから適当にアレンジ、羽毛を石目彫りと筋彫りで変化をつけてみた。結果、品格も威厳も感じられないのは彫る者に似るからか。材料はシナの集成材。着色はカラージェッソにアクリル絵の具を混ぜて塗った。2012/1/25

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本とフクロウ1 本とフクロウ2 本とフクロウ3


「舞い降りる梟」 細工は我流…
 梟の顔はパラボラアンテナのように窪んでいて集音器の役目を果たし、また羽毛が柔らかいうえ風切羽根の周囲に生える綿毛の消音効果で、音もなく獲物に襲いかかることができるらしい。体の構造からして正確無比な「森の忍者〜プレデター」なのだ。しかし、その“音無しの翼”を広げて獲物に襲いかかる姿は優美かつ孤高にすら見え、つい「森の賢者」と言い換えたくなる。いままで梟を何度か彫ったが、うまくいった試しがない。細工は流々ならぬ我流、仕上げをご覧じろ、とは言い難いが。2011/10/15

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フクロウ正面 フクロウ背面


「欲張りすぎ」 エゾシマリスの頬袋
 北海道に棲むリスは、エゾリスとエゾシマリスの2種類らしい。エゾリスの朴訥な表情もいいが、エゾシマリスのほうには頬袋があって、木の実を入れると顔が2倍にもなる(小さいドングリなら左右3個ずつ、大きいドングリなら2個ずつ入るそうな)。ユーモラスな表現をしたい私には後者が恰好のモデルだ。動物は己の容量を知っているだろうが、生き物には欲というものがある。限界を越えそうな頬張り方をすることだってあるのでないか……と思いながら彫ったり削ったりしていたら、こんなのができた。第2回北の動物大賞展の入選作。2010/10/8


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エゾシマリス前面 エゾシマリス背面


「ペンギン親子」 1週間の速成

 ペンギンは単純な形なので彫るのも早く、彩色を含めて1週間で完成。しかし、実際に彼らが生命の誕生に到るにはそんな簡単なものではないらしい。皇帝ペンギンの映画を観たことがあるが、−40℃という酷寒の南極大陸で、ときには激しいブリザードに吹き曝されながら120日間も絶食して卵を抱き続ける。愛らしい姿態からは想像できない壮絶な生き方だった。そんな彼らに一時思いを馳せてみた。2010/3/8

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ペンギン親子側面 ペンギン親子正面


「鷹」 バーニング+ペインティング
 素材はジェルトンを貼り合わせた。ところが貼った部分に隙間ができてしまったので、木工パテで埋めた。木工パテは高熱で溶けるためバーニングできない。やむなく羽根だけをアクリル絵の具で塗ることにしたが、彩色はカワセミ以来苦手である。案の定、色調を合わせるのに何度も失敗。絵の具にメデウム(遅乾剤)を混ぜておいたので、濡れた布でぬぐって元に戻した。5度目でどうやら納得。猛禽類の精悍さを表現するポイントは目だろう。左右対称、1oずれても表情が変わるから息をつめて描いた。生き物はすべて目の出来で決まるような気もする。高さ37p。2010/1/10

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タカ正面 タカ側面 タカ背面


「小さな睥睨へいげい」 コノハズクの眼力
 猛禽類の猛々しさと驚いたような眼の愛らしさを共存させるには、ドラエモンのような丸顔のフクロウより、耳様の突起があるコノハズクのほうが表現しやすい。切れ上がる斜めの線によって“睨み”を効かせられるからだ。ところが羽根の模様は複雑きわまりない。写真集を参考にバーニング、といってもやはり複雑すぎてよくわからないので、少々図案化してごまかす。仕上げにフラットクリアーという艶消しラッカーを塗ったのだが、これがけっこう光って、ギトギトした品のないものに堕してしまった。艶消しといっても艶は出る、なんか“痩せる飴”みたいな、だまされたような感じ。2009/11/3

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コノハズク正面 コノハズク背面


「カワセミ」 彩色ままならず
 手本は10数年前のNHK放送のビデオ。バードカーヴィングでは趾を針金で細工するのだが、私はすべて木でつくりたい。止まる岩のほうに趾を彫りつけ、カワセミと岩をダボでつないだ。ジェルトンは彫りやすく、形は比較的容易にできたものの、彩色が思いどおりにならない。青とも緑とも見える微妙な美しさが出せないのだ。失敗するたびに下地剤で塗りつぶしてやり直し。5回ほど塗り替えて、やっとこの色。とても“渓流の宝石”と呼べる色合いにはならなかった。「翡翠(かわせみ)は一張羅(いっちょうら)着て魚捕り」なんて句のようなものをつくって気分転換。2008/5/3

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カワセミ背面 カワセミ腹面

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  ―――――人形ほか―――――

「好日」 3人と1匹の家族
 30代の妻、小学生の娘たち、自分も人間だと思っているらしい猫……昭和の頃のわが家族構成である(私はこちら側にいるカメラマンの気分)。これまで主に単体を彫ってきたが、群像彫刻(ちょっと大げさかな)は形が複雑になった分、手間どった。とくに猫の背から3人の足の隙間に彫刻刀の入らない角度があって、ドライバーでこじったり鉄切り鋸で引き切ったりと、あの手この手を費やした。また表情のバランスがけっこう難しいことを知った。彫りながら、私の人生で最も華のあった時代かな、と思い、家族という平凡で小さな幸せを、いまさらのように感じた。2012/3/15

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家族正面 家族側面 家族背面


「猫と赤ん坊」 重たいけど我慢
 背中に乗っかった赤ん坊が寝てしまい、逃げだすのはわるいような、同時に面倒くさい気がして我慢しているメタボ猫。下絵が決まると一気に2日で彫り上げた。ところが苦手の彩色でつまずく。最初、猫の体をアクリル絵の具で着色したものの、小学生が塗ったみたいにゴテゴテ、テカテカ、濁りまで生じて気に入らず。表層を削り直し、配色も考え直して、今度は予め水を塗っておき、その上に薄めたポワーステインを塗ってぼかしてみた。アクリル絵の具の塗り方がどうも身につかない。で、アクリルは赤ん坊のおしゃぶりとおむつ、猫の目、鼻〜肉球と、最小限の部分塗りにとどめた。2011/11/15

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猫と赤ん坊1 猫と赤ん坊2


「孫がわり」 ばあちゃんと猫
“ほのぼのシリーズ”3作目、飼い猫をおんぶしているばあちゃんの情景。先日、テレビの“ナニコレ珍百景”で見たのがヒント。最近のばあちゃんはけっこう若づくりをするので髪を染める人も多いが、年相応な銀髪にし、割烹着だけピンク色にして女気を残した。猫は、メタボ過ぎて、かなり重そうになってしまった。どうか腰を痛めませんように。2011/4/1

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おんぶ1 おんぶ2


「釣り人と猫たち」 期待すれども…
 端材を活用して遊んでみた。防波堤の釣り人のうしろに“期待”して猫たちが集まってきた場面。材料が余り物なのでかなりいい加減、アイデアも彫り方も行き当たりばったりで、荒削りのまま彩色した。先の「炬燵」もそうだが、こういう彫り方も息抜きにいい。いっそ端材シリーズというか、ミニ彫刻“ほのぼのヒト&ネコ”シリーズなんてのも面白いかな、と思えてきた。高さ、釣り人11p、猫5p。2011/2/1

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釣り人と猫たち 釣り人 猫たち


炬燵こたつ」 人も猫も爆睡中
 余りものの木片をあっち向けたりこっち向けたりして眺めていたら、酷暑の真っ只中なのに季節外れのアイデアが浮かんだ。炬燵が暖かくて気持ちよく、人も猫も眠ってしまったシーン。鉛筆で大雑把に当たりをつけ、浅丸刀で一気に彫る。色付けしたら、なぜか粘土細工のようにしか見えない。廃物利用だから、まあいっか……。2010/8/8

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こたつ


「兄弟」 孫たちを漫画風に
 孫の似顔絵をいろいろ描いてみたら、けっこう似てきたので、彫ってみたくなった。兄は帽子を横に被り、ポケットに手をつっこむ生意気なポーズ。それを弟が真似るが、まだ幼いから片手は指しゃぶりをやめられない。可愛さを強調するあまり三頭身にデフォルメしてしまった。作品は不出来でも孫の実像をダブらせて見るせいか、やはり可愛い。2008/7/8

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兄弟


達磨だるま」 神木を彫る
 樹齢1000年のオンコ材で彫った達磨の根付。硬くて難渋したが、サンドペーパーをかけるときれいな木目が現れた。材は私の第2の故郷・士別で神木とされる、市文化財〜北海道保護木の“祖神の松”。といっても神木を削り盗ってきたのではない。かつて樹木医の診断で、老齢化した巨木の腐朽部分を除去し発泡スチロールで埋める延命措置をとった。その作業のときに出た破片を1個拾ってきたものだ。“長寿”のご利益があるかもしれない。2007/8/25

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ダルマ

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  ―――――展示会・公募展――――

北老人福祉センター文化祭
 北老人福祉センターで、11月1〜2日、恒例の文化祭が催され、この施設を活動拠点にする木彫・皮革工芸・水彩画・絵手紙・書道など各サークル会員や講座受講生の作品が展示された。私は、最新作の「舞い降りる梟」と「怪しい奴」を出展。
 木彫は実用性のある作品ばかり、私の作品だけが実用性が全くない。しかし、何の役にも立たないものを作ることは面白い。言ってみれば自身がもはや無用の長物なので、作り手と作る物との道理が合う。屁理屈はともかく、来観者のなかには、子猫の前で微笑む人がいたり、梟にうなずく人がいたり……無用の用を感じてくれた人もいるようであった。2011/11/1

文化祭展示1 文化祭展示2
各サークルの作品展示/拙作も出展した木彫コーナー


道美展、ことしは奨励賞受賞
 第44回道美展に木彫の猫3作品を出展し、「逃げ足」が奨励賞、「狙う」と「日向ぼっこ」が入選となった。昨年につづき今年も私の猫たちを展覧に供することができた(2011年9月13〜19日、札幌市民ギャラリー)。来観者はけっこう猫の前に立ち止まって注目してくれる。なかには背中を撫ぜたりする人もいる。「作品に触れないでください」が原則だが、思わず手が出たのなら、むしろ嬉しい気持ちだった。
 不思議がられるのはウッドバーニングの手法で「この毛並みはどうやって付けたのですか」と聞く人が多かった。「猫を飼っていますか」とも質問され、今は飼っていない、と答えると、「うちでは5匹いるけど、これほど観察したことがない」という人も。猫好きな人にしかわからないポーズや表情を共感できたひと時だった。

道美展会場 出展3作品
会場の札幌市民ギャラリー/中央が奨励賞の「逃げ足」、左右は入選


温故の会木彫作品展
 “温故の会”木彫作品展に参加させていただいた。この会は道民活動センター“かでる2・7”を拠点に活動していて、メンバーは高齢者がほとんど。会名の由来は、樹木のオンコ(イチイ)と温故知新を重ねた由。昨年入会していたのだが、時間的余裕がなく退会してしまった。今回、元同志のよしみで誘いを受け私も飛び入り、厚かましくも「日向ぼっこ」「きれい好き」「逃げ足」の3点を出展。
 ずらり並んだ作品群を見ると、いずれも正統な伝統を守り、技芸を磨いてきた堅実な作品ばかり。そんな中に、奇をてらうような私の猫が紛れ込んでいるのはどうも場違いな感じで、気が引けてきた。展示は2011年6月23〜29日、“かでる2・7”1階展示ホール。

温故の会木彫展1 温故の会木彫展2
かでる2・7での“温故の会”木彫作品展/拙作 猫3点も参加


北の動物大賞展に入選
 第2回クラフト全国公募“北の動物大賞展”に応募した。第1回の開催から案内をいただいていたが、猫以外の作品に自信がなく気持ちが臆していた。今年も再び誘われたので意を決して出展。結果は「欲張りすぎ−エゾシマリス」が入選(審査結果はこちら)した。受賞作は木工玩具系が多く、木彫の受賞はなかった。この公募展は木彫の技を競う催しではないにせよ、木彫勢(今回の木彫入選者は8人)にとっては残念なこと。
 会期は2010年12月14日〜19日、会場は札幌コンチネンタルギャラリー。木彫・木工・陶芸・彫金・ガラス・染色等々、あらゆるジャンルの受賞〜入選作98点が展示され、それぞれの材質を生かしたアイデアや感性を楽しみながら、自然保護と動物たちの共存を考えさせられた。

北の動物大賞展会場 展示作品の数々
北の動物大賞展のコンチネンタルギャラリー/入選作品−下段右端のリス


道美展新人賞を受賞
 木彫サークルの仲間に誘われて第43回道美展に、最新作の猫を3点出品したところ、「ストレッチ」で新人賞を受賞、「きれい好き」「白猫」は入選した。私は今年70歳になったので、この歳で“新人”とは不思議な気持ち、まあ少々若返った気分でもある。木彫は老後の手すさびに始めた。自分が楽しめればいい、老い先短い身だから、面白い作品が幾つかできたら、私がこの世から消え去っても、孫たちの机の端か本棚の隅にでも載っけられればいいな、と思って彫ってきた。だが、“新人”となったからには、新しい風を起こさなければならない。まだ千の風なんかになっていられないや、と思いを改めた。
 道美展は2010年9月7日〜12日、札幌市民ギャラリーで開催された。

道美展会場 初出展3作品
                    道美展会場の札幌市民ギャラリー/新人賞(左)と入選2作品

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  ―――――余 談――――

彫刻と模型
 高村光太郎は『美について』のなかで、こう記している。

「模型は如何ほど巧みに出来ていても結局写しである。模型は受動的である。作者に何の根拠もなくて眼と手とによって自然形象を引写し、そこに多少の視覚的快美を求めたに過ぎないものを彫刻と目することは、なんだかおかしい」

「彫刻に対する人間の根本要求は、物の再現そのものにあるのでなくて、物の力学的抽象性の美に在るのだという見解をとりたいのである。(中略)ドルメン的性格をあくまで持つ彫刻性が発揮する特色としては、悠久感、物量感、均衡感、安定感、触知感、身をすりよせたいような頼もしさ、手中に入れてしまいたいような親しさ、仮現としての人生から実有としての根源美を抽出してくる清潔さ等々を考えることが出来る。現象はすべて抹殺される。およそ俗情は介入する余地がない」

 つまり私の彫っているものは彫刻にほど遠く、模型というべきもののようだ。自分を弁えたうえで、その“視覚的快美”をどこまで表現できるか、また“力学的抽象性の美”とやらに近づくことはできないか……遊び半分でやっていたのに、姿勢を正さなければならない気持ちになった。2012/5/3


思わず笑った猫川柳
 猫を彫ることが多いので、その参考に猫のいろいろなポーズの写真を集めている。猫サイトは実に多いし、なかにはプロ並みの撮影者もいて、彫りたい意欲を刺激するショットとの出会いが嬉しい。話は逸れるが、ついでに猫川柳を集めてみたら、これもけっこう多い。猫はやっぱりユーモラスな表現に向いているらしい。思わず笑ってしまった10句を下に(ただし最後の句は私の作で、面白くないかも)。これ、著作権はどうなるか。短いから許されるというものではなかろうから、作句者に敬意を表し柳名も掲載させていただいた。2012/2/22

 猫の名を聞けばオレオレ電話切り やーちゃん

 あくびする猫を見ていてあくびする 航さん

 新聞紙広げりゃいつも猫すわる たけのこ

 疲れたら猫もやってる横座り 頓馬天狗

 「猫かな?」と言ったら孫は猫の声 鉄爺

 ままごとでのら猫の役する息子 みなちゃん

 あんなにも俺を捜すかネコ不明 永石真丸

 つまみ食い見ていた猫に少しやり 柏原のミミ

 退屈し猫かぶりつく俺の足 北川修二

 炎天下 木蔭探して猫に逢い 良二


「年賀状と猫」 ハッピー・にゃあ・イヤー
 年賀状に自刻の木彫作品を入れている。ここ数年、猫のいろいろなポーズを彫っているので、毎年猫を登場させることになる。しかし、干支に猫は入っていないから、年始挨拶にそぐわないという人がいるかもしれない。
 なぜ猫が干支に入っていないか。子供のころ聞いたうろ覚えの記憶……お釈迦さまに動物たちが拝謁することになった。猫はその日がいつだったか忘れ、鼠に聞いた。鼠は意地悪して実際の訪問日の次の日を教えた。それを真に受けた猫は翌日顔を出したので間に合わず、十二支リストから外されてしまった。以来、猫は鼠をみると怒って追いかけるようになったそうな……。
 かなりいい加減だが、まあこんなことらしい。で、干支に関係ないなら、毎年、猫を登場させてもかまわないと考えた次第。ちなみに私の誕生日は4月8日で釈迦降誕の日と同じなのだ。だからどうだ、というわけではないけれど。2012/1/1

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年賀状2012


朝飲み会?
 老いの楽しみに木彫を始め、現在、札幌北老人福祉センターの木彫サークル“麻の実会”に入っている。この会は、毎週の例会のほか、展示会や講習会、親睦行事もある。みんな同年代だから、和気藹々の雰囲気が愉快だ。いつだったか日帰り旅行で近郊の温泉に出かけたら、玄関ロビーに「歓迎・朝飲み会様」との札が出ていた。電話予約なので麻の実会(あさのみかい)の発音を勘違いしたのだろうが、われわれは朝から飲んでいるわけではない。まあ、1人や2人はいるかもしれないが……。2010/6/8


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